日本キリスト教団 東戸塚教会

2018.5.13「強欲ラバンとヤコブ」

Posted on 2018. 5. 14, 牧師: 藤田 穣

聖書 創世記29章21~30節
29:21ヤコブはラバンに言った。「約束の年月が満ちましたから、わたしのいいなずけと一緒にならせてください。」 29:22ラバンは土地の人たちを皆集め祝宴を開き、 29:23夜になると、娘のレアをヤコブのもとに連れて行ったので、ヤコブは彼女のところに入った。 29:24ラバンはまた、女奴隷ジルパを娘レアに召し使いとして付けてやった。 29:25ところが、朝になってみると、それはレアであった。ヤコブがラバンに、「どうしてこんなことをなさったのですか。わたしがあなたのもとで働いたのは、ラケルのためではありませんか。なぜ、わたしをだましたのですか」と言うと、 29:26ラバンは答えた。「我々の所では、妹を姉より先に嫁がせることはしないのだ。 29:27とにかく、この一週間の婚礼の祝いを済ませなさい。そうすれば、妹の方もお前に嫁がせよう。だがもう七年間、うちで働いてもらわねばならない。」 29:28ヤコブが、言われたとおり一週間の婚礼の祝いを済ませると、ラバンは下の娘のラケルもヤコブに妻として与えた。 29:29ラバンはまた、女奴隷ビルハを娘ラケルに召し使いとして付けてやった。 29:30こうして、ヤコブはラケルをめとった。ヤコブはレアよりもラケルを愛した。そして、更にもう七年ラバンのもとで働いた。

母の日の由来
今日は、母の日ですね。皆さんは、お母さんにどのように感謝を表しますか? 母の日が最初に祝われたのは、1908年、今から110年前のアメリカ東部ウエストバージニア州のメソジスト教会でした。牧師の娘として生まれたアン・ジヤーヴィスは、南北戦争後、母親の健康衛生向上のためのクラブを造り、すべての母親を讃える母の日の制定を望みましたが、果たせないまま天に召されたのでした。娘のアンナは、母親の志をついで、母親に感謝する母の日の制定に努力しました。その努力が実り、すべての母親に感謝する礼拝が捧げられました。
1908年5月10日、母アンの命日に一番近い日曜日、アンナの両親が設立に尽力したウエストバージニア州のメソジスト教会で行われました。
アンナは、母親の好きだった白いカーネーション500本を贈りました。カーネーションの花言葉は、愛、純粋さ、忍耐強さ、白い花には、尊敬の意味があります。そして、カーネーションが母の日のシンボルとなった。その後、元気に頑張っているお母さんには、赤いカーネーション、亡くなったお母さんには白いカーネーションという習慣が根付き、1914年、アメリカの国民の記念日となった。
日本でも明治時代の末に、キリスト教会で始まり、1913年、青山学院大学の米国人宣教師によって母の日の礼拝が捧げられました。戦後の1949年、米国と同じ5月の第2日曜日が母の日として祝われるようになりました。

4月の末から、教会学校は、創世記、イサクの息子ヤコブについて学んでいます。
伯父のラバンの家に
兄エサウを騙し、怒りに触れたヤコブは、逃げるように故郷を離れ、母リベカの兄ラバン伯父さんを頼って旅をつづけ、東の国ハランに来ました。
野原の井戸に羊の群れを連れた人たちがいました。ヤコブは、「こんにちは、ラバンという人を知りませんか?」「ああ、知っているよ、もうじき、娘のラケルが羊を連れてここに来るよ」
暫くすると、ラバンの娘ラケルが羊を連れてやってきました。ヤコブはラケルに会うと嬉しくなって涙を流して言いました。「わたしは、いとこのヤコブです。」ラケルは、走って行って父親のラバンに知らせました。ラバンは、喜んでヤコブを出迎えました。

ヤコブは、ラバンの家で働くことになりました。ラバンの羊や山羊を飼うのでした。ラバンは、ヤコブに、「ヤコブよ、お前にただ働きで羊飼いをさせるわけにはいかない。あなたが欲しいものを云ってみなさい。」
「あなたの娘ラケルさんと結婚させてください。そうして頂けるなら、7年間あなたのところで羊を飼いましょう。」「よかろう、7年間働いてくれるなら、ラケルとの結婚を許そう。」
ヤコブは、7年間、毎日一生懸命働きました。「ラケルと結婚できるんだと思うと羊飼いのきつい仕事も辛くありませんでした。そして、7年経ちました。ヤコブは、ラバンに「さあ、ラケルと結婚させてください。」
ラバンは、近所の人たちを集め結婚の祝宴を行いました。花嫁は、ベールで顔を隠していました。それからすぐ、ヤコブはひどいショックを受けました。ベールの主は、ラケルの姉レアでした。ラバンは、ヤコブをだまして姉のレアと結婚させたのです。
ヤコブは、ラバンに詰め寄りました。「伯父さん、わたしを騙したのですね」「我々の所では、姉よりも前に、妹を先に結婚させる習慣がない。もしラケルと結婚したいのなら、あと7年ここで働きなさい。1週間の婚礼の祝宴が終わったら、ラケルとも結婚させよう」二人の女性との結婚、当時は、二人以上の奥さんがいるのは、不思議なことではありませんでした。
ラバンはヤコブを騙したのです。ヤコブはどんなに悔しかったことでしょう。でも、ヤコブは、兄エサウを騙してエサウの代わりに、お父さんのイサクから長男の祝福を受けました。そのせいで、自分の故郷を逃げてきたのでした。ヤコブは、お父さんやお兄さんにひどいことをしたことに改めて反省したことでしょう。皆さん、決して人を騙さないでください。

ヤコブは、二人の妻を持ち、更に7年、合計14年もの間、伯父ラバンの家で働きました。悔しくても文句を言わずに働きました。ヤコブは、ラケルを大切にしました。神さまは、二人の妻に、夫々、子どもを授けました。レアには、10人の息子、ラケルには二人の息子でした。神さまは、ヤコブの仕事がうまくゆくように守ってくださいました。そのためヤコブは、たくさんの羊や山羊を持つようになりました。
ヤコブは、辛い目に遭いましたが、神さまは、ベテルで約束したように、いつもヤコブの傍にいて、守ってくださったのです。
わたしたちも、つらいこと悲しいことが起こるかもしれません。しかし、そんなときでも、神さまは一緒にいてくださいます。私たちももっと神さまに頼る人になりましょう。
(子どもの礼拝 終了)

2~3のことについて考えましょう。

至高の愛情
29:20ヤコブはラケルのために7年間働きましたが、彼女を愛していたので、それはほんの数日のように思われた。何と素晴らしい真理であろうか。
アインシュタイン 相対性原理の説明
「辛い時は永遠に感じる。でも好きな時間は一瞬で終わってしまう」好きな人と一緒にいると時間を忘れる。
しかし、7年間そのために働いた純粋なヤコブの気持ちは、踏みにじられました。結婚式のとき、花嫁衣裳やベールで包まれ現れたのは、姉のレアでした。ヤコブがラバンに、「どうしてこんなことをなさったのですか。わたしがあなたのもとで働いたのは、ラケルのためではありませんか。なぜ、わたしをだましたのですか」と言うと、ラバンは、「我々の所では、妹を姉より先に嫁がせることはしないのだ。」と言い張りました。ヤコブは、ラバンに騙されました。
しかし、それは、7年前のヤコブの姿でした。兄エサウになりすまし、父イサクを出しぬき、長子の家督の権利を欺きとったのは、ヤコブでした。彼はいやというほど、自分のしたことを思い知らされました。箴言26章27節、「 穴を掘る者は自分がそこに落ち、石を転がせばその石は自分に返ってくる。」将に、身から出た錆の報いが大事な結婚の時に下されたのでした。ヤコブは、二人の妻をめとることになりました。二人の妻に>挟まれたヤコブは、さらに7年の労苦の時を過ごせねばなりませんでした。

一神教の熟さない時代、重婚は私たちに理解しがたいが、当時の氏族の維持発展という家族感覚は踏まえておかねばならない。 「一切のことは男を中心として決められる。一夫多妻は、当時の結婚方式であった。子孫を得るという要求に対して、それは、一人の妻よりも勝っていると考えられた。彼らにとって、氏族の維持発展が一切を超えて重大なものだったからである。
重婚の結婚生活は、ヤコブを悩ましました。二人の妻のために、一人一人の関係が損なわれて、家庭内の平和が失われたのである。
しかし、妻二人を得たヤコブに子どもが授かります。レアが6人の男児を授かりました。ヤコブがラケルを愛し、レアを疎んだので、神はレアに子どもを授け、ラケルの胎を閉ざしたと説明されます。子どもを授からないラケルは、かって、子どもの授からないサラが侍女ハガルによって子どもを得たように、侍女ビルハによって二人の男児を得ました。レアの侍女ジルハも二人の男児を授かりました。最後に、ラケルが悲願の息子を授かり、これがヨセフでした。ラケルは、後に、カナンで難産のために亡くなりますが、その時に生まれたのが、ベニヤミンでした。この12人がイスラエル12部族の祖先になりました。イエス・キリストの系図には、ヤコブの後にレアの4男ユダの名があり、3男レビは、祭司の部族になりました。目に見えない神の摂理の深さを想います。

ラバンのもとでのヤコブ
ヤコブ物語のこの部分は、前後の大きな出来事とのあいだに挟まれたエアーポケットのようなものとして読み飛ばされることが多い。 28章 逃げるがごとく一人旅立つヤコブ、初めての石の枕でまどろむ中で、天につながるはしごを上り下りする天使の夢を見た。見よ、主が傍らに立って言われた。「わたしは、あなたの父祖アブラハムの神、イサクの神、主である。…28:14あなたの子孫は大地の砂粒のように多くなり、西へ、東へ、北へ、南へと広がっていくであろう。地上の氏族はすべて、あなたとあなたの子孫によって祝福に入る。 28:15見よ、わたしはあなたと共にいる。あなたがどこへ行っても、わたしはあなたを守り、必ずこの土地に連れ帰る。わたしは、あなたに約束したことを果たすまで決して見捨てない。」
神さまは、ヤコブに、「見よ、わたしはあなたと共にいる。あなたがどこへ行っても、わたしはあなたを守る」と約束してくださいました。
32章では、故郷への旅路、兄エサウとの再会を前にしてのヤボクの渡しでの神との格闘、イスラエルの名を頂く場面だ。32:23その夜、ヤコブはヤボクの渡しで、皆を導いて川を渡らせ、持ち物も渡してしまうと、 32:25ヤコブは独り後に残った。
そのとき、何者かが夜明けまでヤコブと格闘した。 32:26ところが、その人はヤコブに勝てないとみて、ヤコブの腿の関節を打ったので、格闘をしているうちに腿の関節がはずれた。 32:27「もう去らせてくれ。夜が明けてしまうから」とその人は言ったが、ヤコブは答えた。「いいえ、祝福してくださるまでは離しません。」 32:28「お前の名は何というのか」とその人が尋ね、「ヤコブです」と答えると、 32:29その人は言った。「お前の名はもうヤコブではなく、はイスラエルと呼ばれる。お前は神と人と闘って勝ったからだ。」これから 32:30「どうか、あなたのお名前を教えてください」とヤコブが尋ねると、「どうして、わたしの名を尋ねるのか」と言って、ヤコブをその場で祝福した。 ヤコブは、イスラエル…神と闘って勝った。
ヤコブは、神からの祝福を勝ち取ったのでした。

ヤコブを錬磨したこと
ヤコブは、20年間、伯父ラバンの許にいた。彼は、20年間、昼は暑さに、夜は寒さに悩まされながら野原で働き続けた。彼がその労働の厳しさを口にしたのは、ラバンとの決別の時でした。
31章38節 この二十年間というもの、わたしはあなたのもとにいましたが、あなたの雌羊や雌山羊が子を産み損ねたことはありません。わたしは、あなたの群れの雄羊を食べたこともありません。 31:39野獣にかみ裂かれたものがあっても、あなたのところへ持って行かないで自分で償いました。昼であろうと夜であろうと、盗まれたものはみな弁償するようにあなたは要求しました。 31:40しかも、わたしはしばしば、昼は猛暑に夜は極寒に悩まされ、眠ることもできませんでした。 31:41この二十年間というもの、わたしはあなたの家で過ごしましたが、そのうち十四年はあなたの二人の娘のため、六年はあなたの家畜の群れのために働きました。しかも、あなたはわたしの報酬を十回も変えました。 31:42もし、わたしの父の神、アブラハムの神、イサクの畏れ敬う方がわたしの味方でなかったなら、あなたはきっと何も持たせずにわたしを追い出したことでしょう。神は、わたしの労苦と悩みを目に留められ、昨夜、あなたを諭されたのです。」
当時、奴隷は無報酬、羊飼いは、賃労働であった。ヤコブは、最初の14年は、ラケルとの結婚のためにただ働き、最後の6年は、賃労働、ラバンは、その間10回、報酬条件を変えられ、苦しみました。しかし、神は、わたしの労苦と悩みを目に留められたのです。
故郷を逃げるように離れたヤコブは、ベテルで石に枕する孤独と恐れのうちに、夢の中で神との出会いを体験しました。「ここにも、この人ひとり住まない荒れ地にも神が共にいまし給う」の体験である。
その日以来、20年間、ヤコブの羊飼いとしての厳しい労働を支えたのは、共にいまし給う神である。それゆえ、義父ラバンの冷たい仕打ちにも耐えることが出来たのである。神は、わたしの労苦と悩みを目に留められ顧みられたのです。
詩編50篇14節、「悩みの日にわたしを呼べ、わたしはあなたを助け、あなたはわたしをあがめるであろう」。 詩編27篇5節、「主が悩みの日に、その仮屋のうちにわたしを潜ませ、その幕屋の奥にわたしを隠し、岩の上にわたしを高く置かれるからである。」(口語訳) とあります。ヤコブにおいても然りです。神様は、「見よ、わたしはあなたと共にいる。あなたがどこへ行っても、わたしはあなたを守り、必ずこの土地に連れ帰る」(28章15節)との約束を果たされたのです。