日本キリスト教団 東戸塚教会

2020.2.9「ネヘミヤの祈り」

Posted on 2020. 2. 12, 牧師: 藤田 穣

聖書 ネヘミヤ書1章4~11節

 1:1 ハカルヤの子、ネヘミヤの記録。第二十年のキスレウの月、わたしが首都スサにいたときのことである。1:2 兄弟の一人ハナニが幾人かの人と連れ立ってユダから来たので、わたしは捕囚を免れて残っているユダの人々について、またエルサレムについて彼らに尋ねた。1:3 彼らはこう答えた。「捕囚の生き残りで、この州に残っている人々は、大きな不幸の中にあって、恥辱を受けています。エルサレムの城壁は打ち破られ、城門は焼け落ちたままです。」
 1:4 これを聞いて、わたしは座り込んで泣き、幾日も嘆き、食を断ち、天にいます神に祈りをささげた。1:5 わたしはこう祈った。「おお、天にいます神、主よ、偉大にして畏るべき神よ、主を愛し、主の戒めを守る者に対しては、契約を守り、慈しみを注いでくださる神よ。1:6 耳を傾け、目を開き、あなたの僕の祈りをお聞きください。あなたの僕であるイスラエルの人々のために、今わたしは昼も夜も祈り、イスラエルの人々の罪を告白します。わたしたちはあなたに罪を犯しました。わたしも、わたしの父の家も罪を犯しました。1:7 あなたに反抗し、あなたの僕モーセにお与えになった戒めと掟と法を守りませんでした。1:8 どうか、あなたの僕モーセにこう戒められたことを思い起こしてください。『もしも背くならば、お前たちを諸国の民の中に散らす。1:9 もしもわたしに立ち帰り、わたしの戒めを守り、それを行うならば、天の果てまで追いやられている者があろうとも、わたしは彼らを集め、わたしの名を住まわせるために選んだ場所に連れて来る。』1:10 彼らはあなたの僕、あなたの民です。あなたが大いなる力と強い御手をもって贖われた者です。1:11 おお、わが主よ、あなたの僕の祈りとあなたの僕たちの祈りに、どうか耳を傾けてください。わたしたちは心からあなたの御名を畏れ敬っています。どうか今日、わたしの願いをかなえ、この人の憐れみを受けることができるようにしてください。」この時、わたしは献酌官として王に仕えていた。

 

今日は今から2400年前に活躍したネヘミヤのお話をします。このネヘミヤの活躍した150年位前、イスラエルの南王国ユダは、バビロンに敗れ、ユダヤの主だった人々は囚われてバビロンに連れてこられました。その50年後、バビロニアは、新しく力を持ったペルシャ王クロスに倒されました。クロスは、神さまに心を動かされて「バビロンに連れてこられたユダヤ人に故郷のエルサレムに帰っても良い」という命令を出しました。その時、ユダヤの人々は、エルサレムに帰った人もペルシャに残った人もいました。ネヘミヤは、パルシャに残ったユダヤ人の子孫で、ペルシャの王さまに仕える役人で、王さまの食事に毒が入っていないかどうかを調べる重要な仕事をしていました。

 あるとき、ネヘミヤの所に、故郷ユダヤのエルサレムからお客様がやって来ました。ネヘミヤは、ペルシャで生まれましたが、「いつかエルサレムに行ってみたいと思っていました。」 以前、ペルシャからエルサレムに帰った人たちが、神様を礼拝する神殿を建て直したことを聞いていましたが、その後、どうなったか気になっていました。ネヘミヤは、「エルサレムの人たちは元気ですか?」と聞きました。すると、その人たちは悲しそうな顔をして言いました。「エルサレムは大変な状態です。神殿は建て直されましたが、町を取り囲む壁は、壊れたままなのです。周りの国の人たちから馬鹿にされて、皆、辛い思いをしています。」

 ネヘミヤの祈り

 この知らせに、ネヘミヤは、涙が止まりませんでした。悲しみの余り、ご飯も食べずに神さまに祈りました。

 「神さま、私たちの先祖は、神さまに従わなかったので、国を滅ぼされ、多くの人が敵に捕らえられて、遠いペルシャ住むようになりました。神さまは、「私の命令を守るならば、あなたがたを国に帰らせる」と約束してくださいました。どうか、私たちを助けください。て」それから、ネヘミヤは、毎日、毎日、祈り続けました。

 神さまの助け

 やがて冬から春になりました。ネヘミヤは、王宮でペルシャの王さまに、ブドウ酒を差し上げる仕事をしていました。「ネヘミヤ、病気でもなさそうなのに、元気がないけど、どうしたのだ。」ネヘミヤは、ドキッとしましたが、神さまを信じて、正直に打ち明けました。「王さま、実は故郷のエルサレムの壁が壊れたままになっていると聞いて、心が悲しみで一杯なのです。」 「そうだったのか。それでお前はどうしたいのだ、」ネヘミヤは、とっさに心の中で「神さま、助けてください。」と祈ってから、答えました。「王さま、私をエルサレムに送り出してください。エルサレムの町の壁を建て直す仕事をさせてください。」王さまは、「工事が終わったら帰ってくるのだぞ。」そういってネヘミヤがエルサレムに行くことを許してくれました。工事の材料も手に入るようにしてくれました。ネヘミヤが無事にエルサレムに着けるように兵隊や馬もつけてくれたのです。ネヘミヤは、神さまに感謝して故郷エルサレムに出発し、無事に、エルサレムの城壁を直すことが出来ました。

 神さまにすべてを任せて祈るならば、その祈りは聞かれます。「何事でも神の御心に適うことをわたしたちが願うなら、神は聞き入れてくださる。これが神に対するわたしたちの確信です。 (ヨハネ514節)

 神さま、どんなに悲しく困ったときにも、まず、神さまに祈り、助けをもとめる子どもにしてください。イエス様のお名前によって、祈ります。

 アーメン       

子どもと大人の礼拝終わり

 

 ネヘミヤに至る歴史 

ダビデの子ソロモンの死後、イスラエル王国は、北イスラエル、南ユダの二つの王国に分裂しました。そして、この分裂から200年後のBC722年、北王国はアッシリアによって滅ぼされ、更にBC586年、南王国ユダは、バビロンのネブカデネザルにより征服され、王をはじめ主だった人がバビロンに捕囚されます。バビロンに捕らわれたユダの詩人は嘆きを詠じます。詩編137篇にありますが、これをドイツのデスコグループが「バビロンの河」としてポップスとして発表しました。

 バビロンの河のほとりに座り、シオンに思いをはせて 私たちは泣いた。よこしまな連中が、わたしたちを捕えて連れ去り 歌を歌えと強いた まるで見知らぬこの土地で、どうして主の歌が唄えよう

 Yeah Yeah Yeah 私たちの口の言葉と、心にある思いとを 今宵あなたに捧げよう

 捕囚の人々は、郊外の荒れ地や廃墟の町の不毛な地域に住まわされました。亡国の民は、故郷シオンへの望郷の思いがあふれ出たのです。

捕囚から50年後のBC538年、バビロン帝国をくだしたペルシャの王クロスの勅令により、ユダの人々は、帰国を許され、大祭司ヨシュアと総督ゼルバベルに率いられた人々は、帰国するや否や預言者ハガイの支援を受けて、エルサレム神殿の再建に着手します。

 しかし、かっての独立国ユダは、ペルシャの州のひとつサマリアに併合され、その支配下にありました。さらにエルサレムの町は廃墟に等しく、神殿は残骸が残っているに過ぎなません。人びとは自分の生活を建てなければならない。これに危機を感じた預言者ハガイが、総督や大祭司、市民を激励して、神殿再建に立ち上がったのでした。それが、BC520年でした。BC516年、神殿は再建されましたが、ソロモンの神殿には遠く及ばないものでした。祭司エズラは、独立が不可であれば、ペルシャ帝国の自治体員として、各個人が、「神の契約の民」として生き続けるしかない。民族の救済よりも、個人の救済、民族の律法よりも、各個人の自覚による律法遵守へと移行してゆかざるを得ない、と考えました。

 ネヘミヤの帰還と城壁の再建

 ペルシャ王アルタクセルクセス王の20年、BC440年代の半ば、ネヘミヤのいたスサにユダヤからハナニほか数名の同胞が訪ねてきました。彼らにエルサレムのことを聴くと、「捕囚からの帰還者の生き残りで、この州に残っている人々は、大きな不幸の中にあって、恥辱を受けています。エルサレムの城壁は打ち破られ、城門は焼け落ちたままです。」との報告を受けました。第1次帰還者から百年、エルサレムに戻った人たちは、悲惨な状態にありました。ユダは、ペルシャの属州でかっての北王国サマリア州の支配下にあった。再建した神殿もソロモンの神殿には遠く及ばず、生活に追われていた民に城壁は破れはてたまま、城門は、焼き払われたまま放置されていたのです。

 かっての都エルサレムの荒廃を聞いたネヘミヤの心は焼けるようになって、神の前に泣いて祈った。幾日もの間、悲嘆に暮れて、断食をしつつ祈りました。ネヘミヤは毎日祈り、時が備えられるのを待ったのです。御心ならば神さまが道を開いてくださると信じていたからです。「天にいます神ヤハウエ、偉大にしておそるべき神よ、主を愛し、主の戒めを守る者に対しては、契約を守り、慈しみを注いでくださる神よ。 目を開き、 耳を傾け、あなたの僕の祈りをお聞きください。あなたの僕であるイスラエルの人々のために、今わたしは昼も夜も祈り、イスラエルの人々の罪を告白します。わたしたちはあなたに罪を犯しました。わたしも、わたしの父の家も罪を犯しました。 あなたに反抗し、あなたの僕モーセにお与えになった戒めと掟と法を守りませんでした。

どうか、あなたの僕モーセにこう戒められたことを思い起こしてください。『もしも背くならば、お前たちを諸国の民の中に散らす。 もしもわたしに立ち帰り、わたしの戒めを守り、それを行うならば、天の果てまで追いやられている者があろうとも、わたしは彼らを集め、わたしの名を住まわせるために選んだ場所に連れて来る。』 彼らはあなたの僕、あなたの民です。あなたが大いなる力と強い御手をもって贖われた者です。

哀れみ深い神よ。私たちは、あなたが救い出された僕、あなたの民なのです・どうか、あなたに立ち帰ることをお赦しください。 おお、わが主よ、あなたの僕の祈りとあなたの僕たちの祈りに、どうか耳を傾けてください。どうか今日、わたしの願いをかなえ、この人アルタクセルクセス王の憐れみを受けることができるようにしてください。」

この時、ネヘミヤは、献酌官として王に仕えていた。献酌官は、王の信頼を得た重要な役人であった。王の毒殺を防ぐために王のワインを毒味したり、王を護衛する役割を与えられていました。

ネヘミヤは、時を伺っていたのです。それは、アルタクセスクセス王の心変わりしやすい性格にありました。先にエルサレムに派遣した祭司エズラにみられるように、エルサレムに好意的な態度を示したかと思えば、「今、工事を中止せよ、改めて私が命令するまで、その都は再建されてはならない」との命令が出されていた、のです。

アルタクセルクセス王の第二十年の3月のこと、王はぶどう酒を前にし、ネヘミヤがぶどう酒を取って、王に差し上げていた。ネヘミヤは王の前で暗い表情をすることはなかったが、 王はネヘミヤに尋ねた。「暗い表情をしているが、どうかしたのか。病気ではあるまい。何か心に思い煩いがあるのではないか。」ネヘミヤは非常に恐縮して、 王に答えた。「王がとこしえに生き長らえられますように。わたしがどうして暗い表情をせずにおれましょう。先祖の墓のある町が荒廃し、城門は火で焼かれたままなのです。」 すると王は、「何を望んでいるのか」と言った。ネヘミヤは、一瞬、天にいます神に祈って、 王に答えた。「もしも僕が御心に適い、王にお差し支えがなければ、わたしをユダに、先祖の墓のある町にお遣わしください。町を再建したいのでございます。」 王は傍らに座っている王妃と共に、「旅にはどれほどの時を要するのか。いつ帰れるのか」と尋ねた。ネヘミヤの派遣について王が好意的であったので、どれほどの期間が必要なのかを説明し、更に、ネヘミヤは王に言った。「もしもお心に適いますなら、わたしがユダに行き着くまで、わたしを通過させるようにと、パレスチナ地方の長官たちにあてた書状をいただきとうございます。 また、神殿のある都の城門に梁を置くために、町を取り巻く城壁のためとわたしが入る家のために木材をわたしに与えるように、と王の森林管理者アサフにあてた書状もいただきとうございます。」神の御手がわたしを守ってくださったので、王はネヘミヤの願いをかなえてくれた。 こうして、わたしはパレスチナ地方の長官のもとに到着する度に、王の書状を差し出すことができた。王はまた将校と騎兵をわたしと共に派遣してくれた。
 王は何故、承知したのか。彼は、エルサレムをエジプトの反乱に対する干渉地として、要塞化を必要としたのであろう。

ネヘミヤの一瞬の祈りは、王からすれば一瞬の沈黙に過ぎない。だが、ネヘミヤにとって、この祈りは、断食をして徹夜で祈り、4ケ月以上の祈りの集大成であり、全てを神に委ねる祈りでした、

「何事でも神の御心に適うことをわたしたちが願うなら、神は聞き入れてくださる。これが神に対するわたしたちの確信です。 (ヨハネ514節)

 BC444年、エズラとネヘミヤは、エルサレムの城壁を修築し、サマリアとの縁を切り、独立の宗教共同体を作り上げるのに成功したのです。それは、ネヘミヤがペルシャ王アルタクセルクセス2世の寵臣だったからでした。城壁は52日で完成、我々の敵が皆これを聞いたとき、周囲の異邦人はみな畏れ、大いに面目を失った。彼らはこの工事が、我々の神の助けによって成就したことを悟ったからである。(ネヘミヤ書625節以下)